育成期について


 

 離乳した子豚は体が弱いため完全放牧とはいかず、運動場つきの育成舎へ移動します。

20頭1群の部屋が3室あり、ここで約2ヶ月間過ごします。入れ始めは体が小さいので脱柵に注意が必要。

 

また雨が多く外が泥んこだと室内への泥の持込が多くこれをかき出すのは大変な作業。もっとも彼らにとって泥んこ遊びは至上の喜びなのだろうけど・・・。
 

 

 

冬は気温がマイナスにもなることも当たり前な土地なので保温用の箱を入れてあげます。

 

 

豚が「かわいい」と言っているのはこの頃まで。次第に大きくなり力がつけば、左に右に動かしたくても、もうこちらの思い通りにはいかなくなる。

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肥育期について


 

 肥育期の放牧豚のための放牧場は4区画あり、1区画2000㎡を2分割し、1年交代で片方を使い、もう片方を休ませます。1区画に20頭ぐらいを入れて1区画で年に3回の肥育を行います。

 

 放牧場には簡易なコロニー豚舎が置かれ、豚は自由に寝起きをして放牧場で過ごします。放牧場の片隅には給水器、給餌器があり、放牧場の周りを電気柵で囲っています。放牧開始後2週間は放牧場に慣れるかどうか、病豚が出ていないか細かい観察が必要です。

 

 

 この時期に脱柵されたら大変。ある時、出荷しようとしたら狐につままれたように1頭もいなかったことがありました。

 

 

 こんなときは西部劇に出てくるインデアンよろしく足跡で行った方向を定めます。「10分前北の方角へ行った」「10分前~。???」・・・・か・い・け・つー。それにしても1日1回の電柵の点検は必要です。

 

 約3ヶ月過ごすと110kgぐらいになり出荷となります。
 出荷は豚との知恵比べ。年から年中追っかけっこではたまらないので、餌場の周りに柵を設けてそこに追い込みます。そこから積み込むようにしてありますが、ひとたび失敗しようものならそれはそれは大変になります。豚の知能は低くありません。同じ轍は2度と踏みません。そう、学習をするのです。

 先ほどと同じところを狙って逃亡を図ります。人間もわかっているから同じところは要警戒。

 


 知恵がだめなら体力勝負。気の短い人間は大抵堪忍袋の緒が切れます。一人がカッカすると周りの手伝いはしらけます。それを見て余計腹が立ち怒り心頭に達します。何とか積み込みを終えても、一人振り上げたこぶしは収めようがなくただただ「ミジメ・・・」そうならないためにも慎重に、慎重に!

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